明るい職場
数日前、医師国家試験の合格発表があった。それに伴い医籍登録の為の診断書を何枚か書かせて頂いた。若い先生方の研修先や待遇を雑談交じりに伺うと、我々の頃とは比較にならないくらい待遇が改善されており隔世の感がある。私は信濃町駅前にある都内屈指の有名大学病院に研修医として勤務した。我々に支払われる金額は月額25,000円、冗談でも何でもなくこれが3ヶ月に一回75,000円ずつ支払われた。大学とは雇用関係に無いらしく保険証は与えられなかったので長らく無保険の状態だった。ポケベルも自前で用意した。当然、この金額で生活出来る筈も無く週の半分は当直のアルバイトを行って居た。2年間の研修医を終えて2年ほど関連病院に出張する。この2年間が唯一まともに賃金が支払われた期間である。出張を終えて大学に戻ると更にスペシャルな待遇が我々を待っている。無給助手である。文字通り無給。教室の斡旋してくれるアルバイト先に週3回くらい出向いて賃金を得る。我々は高級な置屋に身を置く舞子はんの様なもので企業のお座敷に呼ばれて稼ぐと言った具合であった。我々の時代は本当にブラック企業もびっくりなくらいブラックな環境で独楽鼠の如く働かされたが、これからは若い先生方が気持ちよく働ける職場環境を整えて欲しいと切に願う。